経営コンサルタントの仕事|事業計画策定|計算実務

コンサルの現場から

前回まで成行損益作成のための考え方をご紹介してきました。

今回は、前回までに整理した考え方を実際に数字にしてみます。計算手順をできるだけ詳細にご紹介しますのでご参考になれば幸いです。

前回までの記事はこちらです。

・経営コンサルタントの仕事|事業計画策定|売上高
経営コンサルタントの仕事事業計画策定|費用

 

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計算要素のまとめ

成行損益概要#2に記載した計算要素のツリー図を今回のケースに当てはめました。

対象会社の主力事業である一般書籍事業と教育書籍事業については、売上高を数量と単価に分解し、ある程度正確に計算します。
その他事業に関しては将来が読みづらいことから、プロジェクトの終了と開始が反復すると仮定して直近の売上高が続くものとします。固めに見るならゼロでもいいと思います。

費用に関しては、変動費と固定費に分解して、変動費は売上高の関数とし、固定費は売上高にかかわらず一定額が続くと仮定します。

このように、基本的には分解、予測、積上のプロセスを経て将来の数字を計算します。

 

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計算条件のまとめ

売上高


※CAGRとはcompound average growth rateの略で、年平均成長率を表します。詳細はグロービス経営大学院他をご参照ください。

売上高に関して、一般書籍事業と教育書籍事業の数量は人口予測を採用し年平均1.3%の減少としました。(出典:国立社会保障・人口問題研究所) 対象会社の売上数量だけを見れば1%の減少でも良さそうでしたが、特別な策を打たない限りは主要顧客層である若年層の人口減少と同じペースで減少するだろう、と考えました。

費用

売上原価と販管費に関しては、変動費と固定費に分解し、変動費は売上に対する比率を用いて将来を予測します。固定費は直近の数字が将来継続すると仮定します。多くの場合、会社は費用削減に取り組んでいますので費用に関しては直近の数字が最新の状況を表しています

 

売上高の計算方法

売上数量

・一般書籍事業
売上数量の内、赤色枠で示した一般書籍事業は毎年1.3%の減少とします。

・教育書籍事業
オレンジ色で示した教育書籍事業も同じように毎年1.3%の減少としていますが、4年周期で数量が増加するため、2020/3期の数量は2016/3期の数量に4年分の減少を織り込みます。
1,643×(1-1.3%)^4という計算になります。「^ 4」は4乗を表しています。
また、2021/3期の数量は2019/3期の数量を2年分減少させています。

売上単価

どの事業も2018/3期の売上単価が続くと仮定しています。書籍の単価は毎年変わるようなものじゃないですよね?変わったとしても「値上げ」の方向だと思いますので、保守的に予測する意味でも据え置きにしておきます。

売上高

数量×単価で計算した結果が上の表です。

 

費用の計算方法

売上原価

・変動費
用紙代と印刷代が変動費であるため、赤枠で示した2018/3期の売上原価率に上で計算した売上高を乗じて計算します。特別人件費は4年周期で定額発生します。

・固定費
人件費とその他の費用は固定費として、2018/3期の数字が継続すると仮定します。一時的費用は削減可能なため、将来は発生しないとの回答を得ています。(経営コンサルタントの仕事|事業計画策定|費用を参照)

販売費および一般管理費

・変動費
特別営業費を変動費として、改訂期の前年に計上します。金額は変動しにくいとのことなので定額とします。※毎年定額発生せず、売上高の周期に基づいて発生するという意味で変動費に分類しています。

・固定費
販売費と一般管理費を固定費として2018/3期の数字が継続すると仮定します。

 

成行損益の完成

2018/3期までが実績で、2019/3期以降が予測した成行損益となっています。

実績では売上数量が1%の減少でしたが、成行では1.3%の減少としていますので、売上高の減少ペースが早まっています。それに連れて営業利益の減少もペースが早くなっています。

この先事業計画を策定する上では、特別なことを何もしなければ利益が減少していくという認識が非常に重要になります。関係者全員がこの認識を持ち、業績改善に向かって取り組んでいく、というシナリオにつながります。

 

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事業計画のストーリー

このように、成行損益は問題提起をするための数字となります。2023/3期の売上高目標が10,000百万円の場合は、目標に対して約4,500百万円不足しています(10,000百万円ー5,546百万円)ので、4,500百万円分の売上増加施策が必要ということになります。

売上規模5,500百万円の会社が4,500百万円の売上を追加で作るには、どうすれば良いのでしょうか?これがコンサルタントの仕事です。

また、2021/3期以降、営業利益のマイナスが続いています。このまま何もしなければお金がなくなるでしょうから、純資産の金額によっては銀行から借りたお金を返せない、ということが考えられます。

業績改善策があれば問題ないですが、ターゲット顧客である若年層の人口は減少を続けます。この先業績の向上に期待できませんので、選択肢としてはM&Aでしょうか?その前に赤字商品からの撤退など、リストラ策を考えるのでしょうか?リストラは従業員解雇が伴い、反発も予想されます。最悪の場合、私的整理や法的整理も選択肢として出てきます。

このような選択肢をコンサルティングの中で提案していくことになります。

実際のコンサルの現場では、デジタル書籍の領域へ舵を切りました。書籍のプラットフォームを持つ会社と手を組んで、コンテンツだけを販売し紙書籍を減らすという取り組みです。結局、自社内の資源だけではマーケット縮小に対応できないので、他の会社と手を組むことになりました。

こういう仕事に興味がありコンサルへの転職を考えている方は、この記事を読むことをオススメします→経営コンサルタントの給料#2|転職年収大公開!-前編-

次回以降は損益から離れて財務面の分析やデューディリジェンスをご紹介します。

ご覧いただきましてありがとうございました。現場からは以上です。

 

コメント

  1. たけお より:

    偶然このブログにたどり着きましたが、非常に参考になり、重宝しております。今後の更新も応援しております。

    • ヒロキ より:

      たけおさま

      初めまして。
      ご覧いただき、また参考にしていただきありがとうございます。

      最近放置していましたので、お役に立ててもらえるならこの機に少しは更新しようと思います(ご期待は薄めでお願いしますw)。

      管理人