経営コンサルタントの仕事|事業計画策定|費用

コンサルの現場から

こんにちは、ヒロキです。

前回は成行損益の計算として売上高の計算方法をご紹介しました。
今回は費用の計算方法をご紹介します。

 

用意する情報

対象会社が作成した事業計画などの損益予測資料
・過年度の損益管理資料
・仕訳帳、総勘定元帳などの帳簿

仕訳帳、総勘定元帳などの帳簿があると数字の増減理由を自分で調べることができます。その一方で、中身を見るための時間が必要となります。
対象会社が質問に答えてくれる体制であれば、詳細な内容については質問しておき、回答を待つ間に別の作業を進められるので効率的な作業が可能です。
その一方で、対象会社からの回答が的を得ていなかったり回答に時間がかかると、思うように作業が捗りません。

プロジェクトの序盤は質問を多く出しておき、終盤になっても回答がない場合に、帳簿をもらい保険をかけておくといいと思います。

 

算定のプロセス

①まずは予想する
②数字の中身を見る
③考え方を決める
④計算する

この順番で解説して行きます。
その前に、費用の将来予測のために必須の考え方である「固変分解」について説明します。

固変分解とは

費用は変動費と固定費に分解します。これを固変分解と言います。
変動費は、営業量に比例する費用です。実務上は売上高や売上数量と比例すると定義します。
固定費は、営業量にかかわらず一定額発生する費用です。家賃や保険料、減価償却費が該当します。
費用を変動費と固定費に分けて、変動費は売上の関数とし、固定費は将来も同額発生すると考えます。

ここで注意すべきは、固変分解はPLの費目別に分類するのが実務上現実的ですが、1つの費目に変動費としての性質と固定費としての性質の両方が含まれている場合があるということです。

例えば、人件費です。
人件費には複数の要素が含まれています。基本給、残業代、役職手当、などです。
基本給は昇給がない限りは一定です。
残業代は部署の繁閑によります。営業マンなら営業量に比例すると考えられるので変動費でしょう。経理なら月初、四半期の初め、年度の初めが繁忙期だと思います。

電気代の場合は、基本料金+従量制だと思うので、基本料金部分は固定費で従量制部分は使った分だけ発生しているはずです。電気代が大きい会社の場合は正確な計算が求められます。

 

①まずは予想する

まずは限られた情報を基に2019/3期以降の費用を予想します。このプロセスが重要です「将来こうなるのではないか」という仮説と自分が作った数字を比較して、数字が自分のイメージとかけ離れていないかを意識していきます。
売上の分析時に4年に1回のタイミングで売上が増加することがわかったので、費用も予想し易いと思います。
売上原価は3,500百万円から5,000百万円の間で推移するだろう、ということと、4年に1回費用が増加するだろう、という仮説を持っておきます。

 

②数字の中身を見る

売上原価

売上原価は上の4つに分解できました。
出版業なので、用紙代と印刷代は売上高に連動してそうです。人件費とその他の項目は固定費でしょうか?

上の図は売上比率を表しています。用紙代と印刷代は売上高に対して一定なので変動費ですね。
人件費は売上比率が変動するので固定費と言えそうですが、2012/3期と2016/3期の金額が大きいですね。
その他の売上比率は一定のようですが、金額を見ると固定費です。また、2012/3期の金額だけ300百万円になっています。

数字を見て疑問点があれば質問をするか、さらに詳細な資料を確認して疑問を解消して行きます。

追加で調べた結果、上の表のように、人件費には4年に1回だけ期間雇用の人件費が含まれており、その他には2012/3期に一時的に発生した費用が含まれていることがわかりました。なお、この費用は削減可能なため、今後は発生しないとのことでした。

販管費

販管費は上の表のように分解できました。
販売費と一般管理費ともに固定費のようです。
ただし、2015/3期の販売費が1,200百万円と通常よりも200百万円大きくなっています。これは、教科書改訂の前年度に、各学校や本屋への営業を強化しているため、ということがわかりました。下の表のように整理します。

 

③考え方を決める

売上原価まとめ

・変動費
用紙代、印刷代、人件費(期間雇用分)

・固定費
人件費(期間雇用分を除く)、その他

このように整理し、変動費は売上高比率で将来を予想します。
正確に計算しようとすると売上数量の比を用いた方がいい時もありますが、今回は売上単価に大きな変動がないため売上高とします。

販管費まとめ

・変動費
販売費(改訂前の特別営業費)

・固定費
販売費(特別営業費を除く)、一般管理費

販管費は改訂前に発生する特別営業費だけを改訂期に合わせて変動費とします。それ以外は固定費として扱うことにします。

 

④計算する

決めた考え方の通りに計算するだけです。実際の計算は売上高と合わせて次回紹介します。

 

参考までに

今回は、費用を用紙代、印刷代、人件費、というように項目別(機能別)に分解しました。

一方で売上高は一般書籍、教育書籍、というように事業別に分かれていましたよね?
本来であれば、費用に関してもまずは事業別に分けた上で、それを機能別に分けるべきです。
対象会社の管理方法として、費用は事業別に管理していない前提でしたので、最初から機能別分類としました。
数字の管理は組織と紐付いていることが多いです。組織図をもらって数字の管理方法を推測すると資料依頼もやりやすくなります。
組織が事業別になっていれば、おそらく事業別に採算を管理するでしょうから、費用も事業別に分かれるはずです。今回はそうなっていなかったのでしょう。

 

今回は以上となります。
ご覧いただきありがとうございました。

現場からは以上です。

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