収益認識基準#2|有償支給取引

会計士日記
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これ、帳簿上だけでなんとかならないすか?

ある上場会社の役員(39歳♂メガネ中肉中背)に言われました。

この会社は鉄を加工する製造業で、取引先と有償支給取引を行っています。有償支給取引は収益認識基準においては悪の根源にように扱われており、

「絶対に売上を計上させねーぞ!!!!」

という会計業界の闇の深さと濃さを感じます。

収益認識基準と有償支給取引の解説は太田達也さんに譲るとして、冒頭の発言があった監査現場で何が起きたか、について紹介します。

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有償支給かどうか見分けがつく?

なんでしょう?有償支給取引って

A社はC社に材料Tを販売しています。C社は材料Tを加工して部品Yを製造し、外部へ販売しています。また、A社に販売することもあります。

ここでいう有償支給取引とは、材料Tを引き渡して(A社→C社)部品Yを買い戻す(C社→A社)ことだと思われます。

そして、有償支給取引に該当する場合は、この材料Tの売上と部品Yの仕入を認めない、というのが収益認識基準です(太田達也談)。

であれば、後から偶然買い戻すことになった場合は材料Tの売上を後から取り消すのでしょうか?上の図のA社からC社への140円の売上が認められるかどうかは、この偶然が起こらないことにかかっていますよねぇ。

しかも、部品Yを買い戻すことになったとして、買い戻した部品Yに対応する材料Tの売上を特定することはできるのでしょうか?いついくらで支給した材料Tでしょうか??

また、収益認識適用指針に掲載の会計処理は、有償支給時に材料Tの売上は計上せずに負債を計上し、買い戻さないことが明らかになったときに負債から売上に振り替えるという会計処理です。

えっ、一体いつまで待てばいいの?いつまで待てば売上が認められるの?

買い戻さないことを取締役会で決議すればそれで満足かーーー!!!

とブチ切れられるでしょうね。

管理方法を変えることになるのか

このように、1つの取引先に対して有償支給取引と通常の販売取引の両方を行っている場合、いつ買い戻しが発生して売上を取り消すことになってもいいように、日常の管理方法を変える必要が出てくる、という結論になりそうなそのとき、

「これ、帳簿上だけでなんとかならないすか?」

という発言をさせてしまったのです。

そりゃそうでしょう。

会計基準1つのために管理方法なんて変えられませんよ。管理の手間が増えてカネが1円も増えないなんてバカらしっ!って思いますよ。ボクが会社の立場なら。

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結局どうすれば・・・?

この会社の場合は、有償支給に当たるかどうかを「材料の有償支給とその買い戻し」だけで判断しない、ということで決着しました。

材料Tの支給時において、部品Yの図面や製造指図書をC社に提供するなど、C社が部品Yの製造工程の一部を担っていると認められる状況があれば有償支給取引に該当するとして材料Tの売上計上は認めない、それ以外の場合は認める、という結論です。

この時は、製造工程の一部を担っているとは認められなかったため、C社に対する売上を認めることになりました。

ある上場会社の役員(39歳♂メガネ中肉中背)も満足したことだと思います。

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有償支給取引の収益認識基準

は実務の実態と乖離している部分があると思いますね。

製造現場では今回のようなケースがたくさんあるのではないでしょうか?

 

今回は以上となります。

ご覧いただきましてありがとうございました。

 

 

 

 

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